日本にお住いの外国人の方なら、アルバイトや就職などの際に面接を受けたことがあるかたも多いでしょう。
異国の地でまだ日本語も十分に分からないまま、きっと「何を聞かれるんだろう?」「なんて答えればいいのだろう?」とドキドキしながら面接に臨んでいたことでしょうね。
採用時の面接で聞かれる質問は、日本人でも外国人でもそれほど違いはありません。ただ、外国人に対してならではの質問もいくつかありますので、それに対して事前に回答を準備しておくことができればスムーズに返答することができ、面接官の印象もよくなります。
そこでここでは、外国人が面接の時によく聞かれる6つの質問と、それに対する答え方のポイントをご紹介してきます。
よく聞かれる質問とその意図、返答時のポイント
①「簡単に自己紹介をしてください」
この質問の主な意図は、
・自分から話ができる状態にしてリラックスしてもらう
・どの程度日本語が話せるのか確認している
・話を整理して簡潔にわかりやすく話せる人なのかどうか確認している
ことだと思われます。
返答時のポイントは、
・自己紹介の話が長すぎると印象が悪くなるので、3分程度にまとめて話す
・自己紹介は、名前や出身、経歴、自分の性格の強み、簡単な志望動機ぐらいで十分
・後から質問されそうな内容については、この時点ではたくさん話さない
ということに注意してください。もし緊張してしまって日本語がスムーズに話せなくても、一生懸命に伝えようとする姿勢が見えればまったく問題ありません。
②「日本の印象はどうですか?」
この質問の主な意図は、
・簡単な質問から始めることでリラックスを促す
・基本的なコミュニケーション能力を確認する
といったところです。
返答時のポイントとしては、印象が良かったところだけでなく、思っていたのとは違ったことや悪い印象を持ったことの話も織り交ぜるとよいでしょう。悪い印象の話をする時は深刻な内容は避け、少し笑いが起きるような話を考えてみましょう。
もし面接官が少しでも笑ってくれれば、面接の場は一気に和んだ雰囲気になりますよ。
③「これまでにどんな仕事やアルバイトを経験してきましたか?」
この質問の主な意図は、
・アルバイトなどの労働経験があるかどうかの確認
・募集している仕事に役に立つ経験があるかどうかの確認
・在留資格以外の活動をしていないかの確認
だと思われます。
返答時にはこれまでの経験をそのまま話せばよいのですが、応募した仕事に関連するアルバイトや仕事の経験がある場合には、その経験をアピールして「この仕事に応募した理由」につなげていくことも有効です。
アルバイトなどの労働経験が無い場合には、無理に話を作らずに正直に伝えましょう。やりたい気持ちがあっても、学業が忙しくてアルバイトの時間がとれない人がいるのも事実です。
④「どうしてこの仕事(この会社)に応募したのですか?」
この質問の主な意図は、
・働く意欲を確かめたい
・本当にここで働きたいのかを確認している
・理由に応じて、配属する仕事を選ぶ時の参考にしている
と思われます。
経験のある仕事への応募なら、「これまでの経験を活かしたい」という理由でOKですが、経験の無い仕事への応募でも、「これまでと違った分野の仕事にチャレンジして視野を広げていきたい」と前向きに答えるとポジティブな印象を与えることができます。
「どうしてこの会社(または店)で働きたいの?」という質問に返答する場合には、事前にある程度、その会社や店のことを調べておく必要があります。
この質問の返答に詰まってしまうと、「本当はどこでもいいのかな?」と思われてしまいます。飲食店の仕事なら、できれば事前に一度は店に行って雰囲気や味を知っておいた方がいいですね。
⑤「将来のキャリアプランはありますか?」
この質問の主な意図は、
・長期間日本にいるのかどうかの確認
・この仕事をキャリアプランの中でどう捉えているかの確認
だと思われます。
せっかく働いてもらうのなら、採用する側としては少しでも長い期間仕事をしてほしいと考えます。そのため、「2、3年で自国に戻ります」と答えた場合には不採用になることがあるかもしれません。「帰国の予定は当面ありません」とか「どうしても帰国しなければならない状況にならない限りは日本にいるつもり」と答えるのが無難です。
⑥「他に面接を受けている会社はありますか?」
この質問の主な意図は、
・この会社に対する応募の本気度を見極める
・他社の面接を受けている場合には、その進行度を知っておきたい
ことだと思われます。
熱意を伝えたいので「この会社だけです!」と答えたいところですが、実際に他でも面接を受けているなら「他にもある」と答えた方がよいと思います。
「その会社の面接は進んでいるの?」と聞かれたら、あなたに少し興味がある証拠です。いい感触があることを伝えれば、「この人は他の会社からも認められている人なのかも」と思ってくれるかもしれません。
ただ、面接を受けている会社の業種がバラバラの時には注意が必要です。「どんな会社でも構わないのかな」とか「どこでも仕事ができればいいのかな」というように思われてしまう可能性があるので、納得させることができる共通項を見つけておいた方がいいでしょう。
積極的に質問をしよう!
面接は面接官からの質問に答えるだけではありません。仕事を始める前に、あなたが確かめておきたいこと、疑問に思ったことはしっかり質問して答えをもらいましょう。
質問によっては、面接官からの返答が日本人にありがちな曖昧な言葉になる場合もあります。その場合は、問い詰めない程度に質問を繰り返すか、「●●という意味ですか?」とか「意味がよくわからないので別の言い方でお願いします」などと言ってみましょう。
あなたの疑問が解決しないまま仕事を始めると、後で「思っていたのと違う!」と後悔してしまうことになるかもしれませんよ。
ただし質問はあまり細かい内容にせず、前向きな印象を与えるものを選びましょう。例えば、「最初の給料はいくらぐらいですか?」という質問よりも、「仕事を始めるまでに麺協しておいた方がよいことはありますか?」という質問の方が意欲を感じますよね。
その他に気をつけたいこと
質問に対する返答の内容以外にも気をつけるべきいくつかのポイントがあります。面接官は受け答えの言葉だけを聞いているのではなく、あなたを見ている目から入ってくるいろいろな情報からもあなたの印象を判断しています。
次の3つのポイントにも注意して面接に臨みましょう。
面接官の目を見て話す
相手の目を見て話すことで、たとえ日本語が流暢でなくても「私の話を聞いてほしい」、「この会社や店で働きたい」という熱意や真剣さを伝えることができます。また、面接官が話している時にも目を見ることで、「自分の話を真剣に聞いてくれている」という気持ちが伝わります。
清潔な印象を与える
ボサボサの髪の毛やだらしない服装は、性格のだらしなさを想像させてしまいます。最低限、髪の毛やヒゲ、服装や靴の汚れには注意して面接に臨みましょう。
質問にははっきりと答える
自分から話す時には、相手に聞こえるようにはっきり話しましょう。大声で話す必要はありませんが、自信がない返答の時に小さな声でもごもごと話してしまうと、内容以上に自信の無さが面接官に伝わってしまいます。むしろ自信のない返答の時こそハキハキと明瞭に話しましょう。
まとめ
今回は、外国人が面接の時によく聞かれる6つの質問と、それに対する答え方のポイントを解説しました。
面接は始まってしまうと思っていたよりあっという間に終わってしまいます。「不採用だったらどうしよう…」なんて考えずに、自分をアピールするいい機会だと割り切って、堂々と姿勢をよくして明るく話せばきっといい結果につながりますよ!